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まず思ったのは「この小説はとても恐ろしい」ということ。どこにでもありそうな、ごくありふれた夫婦の日常が描写されているはずなのに、時々、背筋が冷えるくらいに怖い、のです。江國香織さんの小説を読むと、普段はひた隠しにしている心の一番柔らかい部分に、いともたやすくするりと入り込まれてしまうような感覚を味わいます。

10年連れ添った主人公夫婦の会話は、ほとんどの場面においてしっくりとは噛み合わず、お互いに別の方向を向いているように思えます。何故、この人を好きになったのだろう、と疑問を抱きつつも、妻である女性は夫に微笑んでみせ、そして夫婦の生活そのものは揺るぎません。彼女の感情は、私には想像することしかできず……いえ、うまく想像することすらできず、ただひたすらに心の内がざわざわします。

こんな風に食い違う毎日は、虚構の中でいくらか誇張されてはいても、きっとどんな家族にもひそむものなのだろうと、そう思ってしまうことが、また恐ろしい。生々しい他人の赤裸々な日常を、ついうっかり覗いてしまったような、居心地の悪さとどきどきを、同時に味わいました。

文章が綺麗だからこそ、繊細な心の動きが痛々しいほどくっきりと描き出されていて、こちらの内面までが不安定に揺らめいてしまいます。美しくて、残酷で、でも幸せで、そしてやっぱり恐ろしい、のでした。
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2009.06.30 Tue l 日本小説(未分類) l コメント (0) トラックバック (0) l top

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