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『陽気なギャングが地球を回す』の銀行強盗が再登場する続編です。一話完結の独立した短編集だと思っていたら、第二章に入った途端、前半部分も巻き込んで長編へと雪崩れ込んでいったので少々驚きました。

私にとって、前作は伊坂作品の中でも三本の指に入るくらい思い出深い一冊なので、あの特殊能力を持った四人組と再び出会うことができて嬉しいです。特に、成瀬さんは伊坂ワールドのキャラクターたちの中でも一、二を争うくらいに好きです。頭が切れて冷静沈着で人の嘘が見抜けて……と、味方であれば頼もしいことこの上ないですが、敵に回すとそれはそれは恐ろしいことになりそうな……。
そして、そんな冷淡とも呼べそうな人が、「知ってしまったからには助けたい」と誘拐された社長令嬢の救出を決意し、更には作戦成功のためには仲間をも欺いた上で策を練るのですから、もう……面白くないわけがありません。

伏線の緻密さでいえば、前作に軍配を上げたいのですが、会話の軽妙さや、細かい演出の心憎さは相変わらず。公衆電話を見つける人間力、にはにやりとしてしまったし、ハンカチをこっそりポケットに忍び込ませる場面には小粋だなあと唸ったり。名言「ロマンはどこだ」も、饗野さんの無駄なおしゃべり(失礼)も懐かしい。

銀行強盗という、世間的には「悪」の側であると見なされる人たちが主役を張っていながら、どこか「正義は勝つ」的な爽快感を覚えるのがこのシリーズの不思議な点であり魅力でもあるように思います。基本的に、善良な人たちは(その善良さ故トラブルに巻き込まれたりしつつも)そうそう酷い目や不可思議な目に遭ったままでは終わっていないこの物語において、気に掛かるのは和田倉氏とお人好しの誘拐犯二人組の今後です。彼は一体どうしているのでしょうか……。

ところで、別れた恋人たちがドラマチックと呼んでも良いシチュエーションで再会を果たす、というエピソードがいくつか登場するのですが、彼らがあっさりと縒りを戻したり「しない」というところに感心したのでした。過去は過去で大切に思っているけれども、今はそれぞれ別々の道を颯爽と歩いて行く、という姿勢が清々しいです。
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2010.09.30 Thu l ミステリ(日本) l コメント (0) トラックバック (0) l top

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