上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- -- l スポンサー広告 l top
待望のシリーズ9作目、この持て余すような分厚さと重みを味わうのも久々であります。連鎖する毒殺の真相、そして被害者たちと探偵・榎木津を繋ぐ事件の背景とは……? 

前作『陰磨羅鬼の瑕』から新しい幕が開いたような予感を(勝手に)抱いていたので、次作がどんな展開でやって来るのか、にはとても期待していました。そんな今作から受けた印象を一言でまとめるならば、「これまでと比べると、どこか異色だ」というもの、でした。事件を解決も粉砕もせずそれどころか苦悩しているように見える探偵、その探偵と対等に渡り合い前作以来というもの幾分かは頼もしくなったようなそうでもないような作家、思いがけないタイミングで自ら出張ってくる古本屋、とそれぞれ珍しい姿が見られたからなのかもしれません。あるいは、事件の核が登場人物の個人的な過去に直結している、という点に対して前述のような感想を持った、とも言えるでしょうか。

主観で見る物語が別のそれを与えられた途端に全く別の様相を見せる最後の謎解きは、いつもながらに鮮やかで、長い長い入り組んだ道程を辿り続けていい加減に混乱した頭の靄がすうっと晴れるこの感覚は、やはり一度味わったら忘れられない、殆ど中毒のようなものだな、と改めて実感。「語る」と「騙る」が同じ音を持つことに、妙に感じ入ってしまいました。

連続する事件の中心に凝るひとつの思いに、私は共感も同情もすることはできなかったけれど、でも酷く哀しい、とは感じたのでした。その思いを捧げた相手の一言は、確かに罰だったのかもしれませんが、それによって彼の人からも憑き物が落ちたのではないかと、そう思いたいような気がします。

なんだかんだと遠慮なく互いに憎まれ口を叩きながらも、その実皆とても友人思いな面が随所に見られるお馴染みの面々が、とても微笑ましかったです。
スポンサーサイト
2010.09.20 Mon l ミステリ(日本) l コメント (0) トラックバック (0) l top

コメント

コメントの投稿












トラックバック

トラックバック URL
http://hotaru213.blog2.fc2.com/tb.php/290-41f594f7
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。