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「おぱらばん」とはフランス語の「AUPARAVANT」、日本語では「以前」という意味に当たる単語だそう。かつて暮らしたパリ郊外の宿舎で出会った中国人男性がこの言葉を口にしたことに由来する題名のようなのですが、この「おぱらばん」の挿話が登場する一篇の、百個以上のピンポン玉が地下駐車場の床に乾いた音を反響させながら転がる一場面が私には強烈な印象で、息を呑むような思いを味わったのでした。
次点で、幼くして亡くなった友人と空き家に忍び込んでボトルシップを燃やした子ども時代のエピソードが脳裏に焼き付いています。何故それほどに動揺したのかは、自分でも説明できないのですが。

河馬の絵はがきを巡る思索と夢想の「留守番電話の詩人」は、引用される小説(古い絵はがきを蒐集し、そこに託されたメッセージを追体験しようとする老人の物語)が魅力的です。書物の記述を繋いで、写真のモデルとなった河馬の名前を突きとめようとする過程も、どこか推理小説のようであります。

「貯水池のステンドグラス」にて、知人から聞かされる体験談は、作中もっともスリリングかつドラマチックなエピソードでした。貯水池の窓の向こうを漂う、既に失命した男のイメージが、背中に冷水を少しずつ注がれているような冷え冷えとした感覚が残ります。

現実の、日々の生活と、書物の世界とが緩やかに結びつき、また日常へ戻っていく、その連想の中をたゆたっていくのが、なんとも心地よいです。
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2009.05.24 Sun l エッセイ(日本) l コメント (0) トラックバック (0) l top

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