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デパートの寝具売場に勤める「小さな男」とラジオのパーソナリティーである「静かな声」。ふたりの主人公が日々出会う出来事が、交互に語られます。

最初はほんの小さな窓から覗き見ているようだった彼らの生活が、お話が進むにつれ少しずつ、広く深く目の前に披露されるようになります。例えば、「小さな男」にはデパートの店員であるという仕事以外にもうひとつの「職業」があることや、ロンリー・ハーツ読書倶楽部なる集まりの一員であることや、ポルトガルをこよなく愛する妹がいることや、自転車に魅入られてしまったことや……などなど。「静かな声」の彼女にしても、「静香」という名前であることや、卓上灯を創ることを生業にしている弟がいることや、近々自分のラジオ番組を持つ予定であることや、その番組のために真っ赤な手帳を鞄に忍ばせてメモを取っていることや……といった風に。ページを繰る毎に見知らぬひとと次第に親しくなっていくような、そんな親密な空気が漂います。

それぞれがぞれぞれに、関わることなく自分の日常を送っているようだったふたりが、ちょっとした共通項によって少しずつ引き寄せられ、微かな繋がりを持つようになります。なんだかんだでふたりとも、自分の毎日を楽しんでいるように見える(溜息を着いたり考え込んだり小さながっかりと覚えたりもしつつ)のがとても心地よいです。

大きく心動かされるような要素はないのだけれど、ほんの少しさざなみをたてる一冊。とりあえずラジオが聞きたくなったし、チーズバーガーが食べたくなったし、ちょっと覚えておきたいことを書き留める手帳を鞄に忍ばせたくなりました。明日はもう少し、丁寧に日常を眺めてみよう、と思います。
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2010.06.20 Sun l 日本小説(未分類) l コメント (0) トラックバック (0) l top

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