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古いねずみ入らずの中からでてきた古い一冊の本。そこには、魚の絵とその魚にまつわる物語が様々な色のインクで記されています。作者は、ウィリアム・ビューロウ・グールド。19世紀に生きた囚人画家で、ファン・ディーメンズ・ランド(現在のタスマニア)に流刑になった人物です。そこで、自然科学に傾倒する医師の命令を受けてかの地で採取される魚の絵を記録として描くようになるのですが、その魚の絵が彼を数奇な運命へと押し流していきます。

以前からずっと読みたかった本です。冒頭の何ページかを読んだだけで、自分はこれからなにかとんでもない物語を体験しようとしているのだ、という予感に襲われます。
しかし、どうにも感想がまとまらないのです。覚めない悪夢の中に放り込まれたような、悪夢と知りつつ魅了されて覚めることを拒んでいるような。なにが現実でどこからが妄想なのか、そして、結局のところ狂気に囚われていたのは誰なのか。

生と同じくらいに、死が強く香ります。ページを開けばそこは、グールドが物語る流刑地、壮麗な「大麻雀館」が建ち、蒸気機関車が走り、貿易港が作られ、ひとつの国家建設を夢想する「司令官」に支配された土地で、ほとんど暴力的なまでに強力かつ強烈なイメージ(ファンタジー)の連続に、絡めとられ飲み込まれ幻惑され……次第にくらくらと眩暈がしてきます。
なんとも毒性の強い物語で、翻弄されてみる価値は十分にあると思うのだけれども、でもうまくひとには勧められない一冊でもあり。

「State Library of Tasmania」のサイトでは、グールドの描いた水彩画(魚以外のものも)が見られるらしい、とあとがきで読んで、早速行ってみました。美しくもどこか陰鬱な(気がする)風景画や、どことなく毒々しい(ように思える)静物画、そして、ポーキュパイン・フィッシュと「目が合って」しまって、どきりとしたのでした。
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2009.09.07 Mon l ファンタジー(海外) l コメント (0) トラックバック (0) l top

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