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思い出したのは、昔に見た夢のこと―どこか地下の暗闇の中で、前方にはきらびやかに輝く宮殿の入り口のようなものが待っている、しかしそこには絶対に足を踏み入れてはならない、なぜならばその先には正体は分からないけれども何かとてつもなく美しく、同時に途方もなく恐ろしいものが詰まっているから―そんな夢でした。

一人の建築家と、彼の造る建造物の物語です。彼の生み出す建物は、時に「人の心を狂わせる」と噂されたり、あるいは「依頼人の望み以上のものを造る」と評されたり、建築家自身も「何かに取り憑かれているようだ」などと表現されたりします。それほどまでに、彼の建築は不可思議な魅力を持っているのです。死者と共に暮らすことのできる家や、決して飽きることのない迷宮のような屋敷など、圧倒的な美しさと妖しさとは表裏一体なのかもしれない、とふと思うような謎めいた建物の数々。できうることなら映像として見てみたいような、いやしかし、頭の中で思い描くからこその「美しさ」と「妖しさ」なのか。

自分ですら気付くことができなかったような、望み通りのものが、実体として目の前に現れたとしたら? 恐らく、歓喜すると共に幾許かの恐れも感じるのではないかと思うのです。こんなものを手に入れていいのか、あるいは、こんなものが存在して良いのか、と。奇跡的な建築を創り出す代わりに大きな犠牲を払った建築家と同じように、依頼人もまた何かを代償として差し出さねばならなかったのでしょうか。それは、「ありふれた日常」であったり、あるいは「この世界」であったりするのかもしれません。けれども、そんなものならばいっそのこと投げ出しても構わない、とも思ってしまうのです。

人の幸せとは、つきつめれば他人と完全に共有することなどできないごく個人的なものなのだとすれば、完璧な幸福を手にいれ、その中に浸る人間の姿は、他者の目には「心を狂わせた」と映るのかもしれません。
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2009.02.21 Sat l ファンタジー(日本) l コメント (0) トラックバック (0) l top

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