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とにかく目を惹くタイトルの短編集です。ファンタジー色の強い話なのかと思いきや、中身は「企業戦士の悲劇」とでも呼びたくなるような、夢物語とは対極にある厳しい現代劇でした。
コメディと言うには苦み走っていて、しかしシリアス一辺倒と言うにはユーモアに溢れている、容赦ない現代風刺かと思えば、設定は奇想天外。なんとも、不思議な小説です。

例えば、表題作の「床下仙人」は、連日連夜の激務に追われ、妻子の待つ新居に帰ることすらままならない会社員が主人公。妻が「家に誰か知らない人が居る」と主張し始めても、初めは一笑に付していたのですが、ある時、見知らぬ男と楽しげに食卓を囲む家族の姿を見てしまい……。結末はあまりに意外で、ほろ苦くも切なくも、また滑稽でもあります。

家族のためにと毎日必死に働いていたはずが、その仕事のせいで家庭での時間を犠牲にすることになり、挙句の果てには「あなたは私たちのことなんて何も考えていないのね」と当の家族から糾弾されてしまう、そんな哀しき仕事人間たちを見ていると、次第にやるせなくなってきます。

でも、かといって読み終わった後に鬱々とした気分にはならないのは、簡単にはハッピーエンドに辿り着けないにしても、諦めや失望や挫折を突き抜けた向こう側にあるぼんやりとした希望、もしくは微かな笑いの存在を感じるから、なのでした。
逆境におけるユーモアという武器の強さ。なんとも、凄い小説です。
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2008.09.10 Wed l 日本小説(未分類) l コメント (0) トラックバック (0) l top

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