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部屋に野菜の名前がついたアパートに暮らす住人たちと、大家さん一家の物語です。
タイトルも表紙も可愛らしく、文体は読みやすく軽やか、という外見に、すっかり騙されました。ベジタブルハイツの日常が綴られる物語の核となるのは、家族や友人同士、あるいは夫婦や恋人同士、近しいはずの存在の間で、あまりにもすれ違っていく心情。分かり合えない、あるいはそもそも分かり合おうとしない人々の姿は、滑稽で微笑ましくて、それでいてぞわぞわするほどに薄気味悪く感じられました。

幸せな誤解や都合の良い思い込みを上手に駆使しつつ、「幸福な日々」は送られていきます。日常のありふれた幸せ、などというものは、案外と薄氷を踏むように脆いもの。危ういバランスを保ちつつ、ようやくそこにある。何かがもうほんの少し狂えば、一気に悲劇に繋がるかもしれない。ただ、まだその危うさに、気付いていないだけ。

自分の目に映る現実と、他人の目に映るそれとは違います。自分の思う自分像と、他人の思うそれもきっと、微妙にあるいは著しく、異なっているのかもしれません。その差異に気付かされてしまった時の怖さ・不安・失望・その他もろもろのもの、知らずに済めばそれはそれで幸せなのかもしれない「ずれ」を、突きつけられているような感覚にも陥りました。

見た目よりも、ずっと恐ろしい小説です。続編も出ているようなので、ぜひ読んでみたいです。
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2008.03.22 Sat l 日本小説(未分類) l コメント (0) トラックバック (0) l top

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