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これは凄い、です。
美しい恐怖、あるいは魅惑的な恐怖というものが存在するならば、それを存分に味わうことができるのがこの短編集、だと思います。例えていうなれば、底には素晴らしい景色が広がる断崖絶壁の上から、恐ろしさに震えつつもあと一歩もう一歩……とじりじり身を乗り出しているような感覚でしょうか。読むほどに、物語が映像となって否応なく脳裏に挿入されてくるようでした。

中でも「凄い!」と感嘆符付きで思った短編をいくつか。
「七階」で主人公が入院することになった病院は文字通り七階建て、症状が重くなるごとに一階ずつ地上に近い階へと近づいていきます。主人公は、幾つもの要因(偶然か、必然か?)が重なって次第に下の階へと移動するのですが、その度毎に濃くなる抗いがたい死の予感、背筋をぞわぞわと這い上がるような恐怖に捕われ、恐ろしいのに目が離せなくなります。

表題作の「神を見た犬」は、神を目撃した(と人々が密かに考えている)一匹の犬に、心情的に支配されていく村の物語。言葉を交わすことのできない犬が、自分の罪や悪を密かに観察しているのだ、と想像してみたら、自ら心に植えつけてしまった恐怖にがんじがらめにされて逃れる術を亡くした人々の姿を、滑稽だと笑うことは到底できないような気がしてきます。

圧倒的だったのが「戦艦《死》」。この短編に漂う恐怖は、源がどこにあるのか捉えることのできない「見えない恐怖」です。現実のものとは思えない艦隊が姿を現す場面は、確かにその光景をこの目で目撃し、砲撃の音を確かに聞いた、と錯覚するほどの生々しさでした。
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2008.01.11 Fri l 海外小説(未分類) l コメント (0) トラックバック (0) l top

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