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この、とても潔いタイトルの通り、間宮家の兄弟が主人公です。江國さんの小説はずいぶんと久しぶりに読んだのですが、相変わらずとても心地よかったです。文章の空気や匂いを細胞が覚えていたかのように、ああこの世界だ……! と嬉しくなりました。

兄弟は揃って三十路、揃って女性にはついぞもてません。いい人なんだけれど恋愛の対象にはちょっと、と思われてしまう、そんな兄弟なのです。
けれども、二人は至極快適に満ち足りた日々を送っています。例えば、一日中本を読む日(一日中本を読む以外のことはしない日)であるとか、夜の公園で紙飛行機を飛ばすことだとか、大人になっていく過程で何故か後ろめたい思いを抱くようになってしまった好もしい事々を、間宮兄弟はすいすいと楽しげに実行してしまうのです。
二人の周りでは、時に事件(主に恋愛にまつわる)が起こることもあるのですが、いくら巻き込まれようとも、そしてそのせいで苦悩しようとも、彼らの平穏で幸福な日々は決して揺るがないように見えます。何が起ころうとも、何を言われようとも、誰が現れようとも。

間宮兄弟のような生き方暮らし方、愛や恋とはあまり縁が無く、自分たちの好きなものだけに囲まれた世界で生きる、という日々には、心のどこかで強烈に惹かれるのだけれど、そしてこんな風に生きることはとても幸せだろうとも思うのだけれど、その反面、私はこんな風には生きないだろう、いやむしろ生きるべきではない、と一歩離れた場所で思い定める自分もいます。彼らの暮らしを、羨ましい、憧れると思うのは、自分自身はそんな人生を選ぶつもりはない傍観者だからで、だとしたら私の視線というのは、兄弟に対して「いい人なんだけど……」と思う女性たちとなんら変わらない、いやむしろ冷たいのかもしれない……など考え出してしまい、いささか複雑な気分になりました。

そもそも幸せなんて、ごく主観的で個人的なものなのに、それを客観的に相対的に定めようとするから辛くなったり苦しくなったりするんだろうか、と思いは飛躍します。江國さんの小説を読むと、こんな風に心の奥深いところまで、ごくごく私的な部分までいともたやすく入り込まれてしまうので、感想を書くのはとても危険なのです。
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2008.01.30 Wed l 日本小説(未分類) l コメント (0) トラックバック (0) l top

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